貫地谷しほり 朝ドラヒロイン選出の裏側語る〈週刊朝日〉 dot. 8月11日(火)11時40分配信
連続テレビ小説「ちりとてちん」でヒロインを演じ、舞台などにも活躍を広げる女優の貫地谷しほりさん。作家・林真理子さんとの対談で、朝ドラの舞台裏を語った。
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林:貫地谷さんは、今年30歳なんですね。朝ドラの「ちりとてちん」でヒロインをされたときはおいくつだったんですか。
貫地谷:21、22歳ですかね。
林:朝日新聞が「心に残る朝ドラヒロイン」というアンケートをやってて、貫地谷さん、6位に入ってましたよ。
貫地谷:ほんとですか、うれしい。
林:1位が「おはなはん」で2位が「おしん」だったかな。
貫地谷:名作ばっかりですね。やっぱりホン(脚本)がすごかったんです。「また今週も泣いたね。こんなホンはないよ」って皆さんおっしゃってました。
林:あれは大阪のNHKの制作ですよね、大阪にマンションを借りて住んでらしたんですか。
貫地谷:そうです。歴代ヒロインが住むというウィークリーマンションにほぼ10カ月。マネジャーも違うフロアに住んでました。
林:そしてお仕事があるときは東京に帰ってきたり。
貫地谷:はい、週末とかに。でもあまり帰れなくて、家族が大阪に来たりしてました。
林:私、貫地谷さんってなぜかずっと沖縄出身だと思ってたんですけど、東京出身なんですね。
貫地谷:アハハハハ。顔が濃いからですかね。
林:目がパッチリされてるから。朝ドラのヒロインって、みんなにかわいがられてスタッフとうまくやるのも重要なんでしょう?
貫地谷:どうだったんだろう。でも、「こんなに副調(副調整室。カメラの映像を受け取る場所)にいるヒロインは初めてだ」って言われました。時間があるとずっと副調にいてモニターを見ていたんです。
林:それは自分の映りをチェックするために?
貫地谷:いや、なぜか副調にいると落ち着いて(笑)。皆さん大人なので、私の相手をしてくれてました。いろんなことが初めてで、すごく楽しかったです。ヒロインは週末のイベントにかり出されたりもするんですが、まだ誰も知らないような私が行くだけで、「ありがとう」と言ってくださったり。必要とされてるんだって、うれしかったです。
林:それまでもいろいろオーディションは受けてたんですか。
貫地谷:受けてましたが、受からなくて。だから受かったときはすごくうれしかったです。
林:その場で記者会見なんでしょう?
貫地谷:そうなんです。前日に「もう一回最終オーディションがある」って言われて。でも、最終オーディションが何度もあるわけないと思って、マネジャーに「たぶんヒロインに決まったと思うんだよね」って言ったら、「そんなこと言うんじゃない!」ってすっごく怒られて。
林:あ、本人には秘密なんだ。
貫地谷:はい。なんでこんなに怒られるんだろうと思って大阪に行ったら、会議室に人がたくさん並んでて、オーディションスタイルで質問されて、「体力に自信はありますか?」「はい」「じゃあ、秋からの朝ドラのヒロイン、お願いします」って。マネジャーを見たら、そっぽ向いてました(笑)。情報がもれたら大変ということで、過敏になってたみたいです。
林:そうなんだ。でも、21歳で朝ドラのヒロインやっちゃうと、そのあとが大変ですよね。一つの頂点をきわめたわけでしょう。主演クラスをずっと続けなきゃいけないから。
貫地谷:そんなふうに考えたことないかもしれないです。与えていただいた役を夢中でやっていたので。
※週刊朝日 2015年8月14日号より抜粋