【ニュース まとめ】はるさめ君にゅーす!

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シャープ、離れる人心 希望退職でギスギス…社長、消えた直接対話

 

 シャープが経営再建策の柱に位置付ける希望退職の応募者が3234人にとどまった。3年前に会社を去った2960人は上回ったが、目標の3500人規模に届かなかった。平成28年3月期に予定していた約150億円の人件費削減は確保したとして、希望退職の追加募集は見送られる見通しだが、新中期経営計画の重点戦略で掲げた固定費削減策の目玉がいきなり“目標未達”となった。

 「職場の雰囲気が良いわけがない。みんな表面的には静かですが、ギスギスしている」

 希望退職の募集中の7月末、50代の男性社員は、こう打ち明けた。

 シャープでは6月下旬から、希望退職の対象となる45~59歳の社員全員に対し部門ごとにトップが個別に面談。1回目は会社の方針や退職金などを説明。2回目以降に対象者の意向を確認。部門ごとに人員削減の目標人数を設定し、5段階評価の人事評価で一定以下の対象者で退職を希望しない人には3回目以上の面談が続き、「今後、あなたには活躍の場がないかもしれない」と事実上の退職勧奨をするケースもあった。

 面談はコンサルタントなどの外部人材を使わず、部門長が直接部下と対話する方式を採用し、ある男性社員は「同じ釜の飯を食っていた部下に対し上司が『あなたは要りませんよ』と言い渡す。職場は疑心暗鬼に陥り、前向きな一体感など生まれようがない」と説明する。

 事前調査では、希望退職に応募する意向を示した社員が少なく、応募者が3千人に届くかも危ぶまれていた。45歳以上の社員は再就職が難しく多くが二の足を踏んでいたとみられる。このことが事実上の退職勧奨の背景にある。

 一方、会社に見切りをつけても応募できない社員も少なくない。ある40代後半の男性社員は会社の先行きに失望し、希望退職に応募する意向を示したが、会社の評価が高い人材だったことから、上司から「希望退職の適用ができない。やめるなら自己都合になる」と言われ、割増金のないままの退職を断念したという。

 24年に2960人が応募した前回の希望退職でも「会社の業務に著しい支障をきたす」と判断された数十人が認められなかった経緯がある。「会社のために努力した社員には割増金がなく、評価が低い人ほど有利な条件で退職できる」(中堅社員)という仕組みも不満につながった。

 社内に不満や疑心暗鬼が広がるなか、リーダーシップを発揮すべき高橋興三社長は、社員の前に姿を見せなくなっている。

 25年6月の就任当初から高橋社長は全国約150カ所の営業所などの拠点を訪問してきた。現場の社員らと対話し、直接現場を鼓舞してきた。カリスマ化が進んだ歴代社長にはなかった現場の声を聞く姿勢が社員らに新鮮に映り、経営再建への期待も高まっていた。

 ところが業績不振の兆候が経営陣に認識された昨年末以降、全国行脚による現場社員との直接対話は途絶えた。再び経営危機に直面すると本社にこもり、社員に向けたビデオメッセージや社内ネットワークを通じた記者会見中継といった間接的で一方通行の情報発信が繰り返されている。ある中堅社員は「現場の不満が高まる今こそ営業所訪問を再開し社員の声を直接聞くべきだと思うのだが…」と話している。

 液晶事業の社外分社化をめぐる姿勢の転換や、希望退職の目標未達などが相次ぎ、経営再建策の軌道修正が迫られるなか、高橋社長を中心とした経営陣は、再建の最大の障壁となる「人心の離反」と向き合う時期に来ているといえる。

最終更新:8月26日(水)16時27分

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