【ニュース まとめ】はるさめ君にゅーす!

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人気を呼ぶ高価格ビニール傘 1カ月で1000本“売り切れ” スポニチアネックス 8月17日(月)11時2分配信

 

 

 ビニール傘は、現代社会で最も手軽で便利なものの一つだ。ゲリラ豪雨に見舞われてもコンビニなどで、ワンコインで購入できて、しのげる。そのほとんどは外国製。一方で、お札が数枚ないと買えない国産ビニール傘も人気を呼んでいる。こちらの製造に取り組んでいるのは、江戸時代から続く老舗メーカーの10代目だ。
 食器や調理器具などの問屋が並ぶ東京・西浅草の合羽橋商店街から近い下町の一角に、傘の花が咲く。老舗「ホワイトローズ」。須藤宰(60)はビニール傘の開閉を繰り返し、骨組みのチェックに余念がない。


 「使い捨ての象徴のように捉えられているのは残念。ただ、価格では勝負にならない。中身で勝負だよ」

 市場は安い外国製がほぼ独占。そんな中、須藤作は最も安くて1本5400円。一般的なビニール傘の約10倍の価格。最高値は1万2960円で有名ブランド並みだ。

 「本当に必要な人に使ってもらいたいから」との理由で、この店舗でしか販売していない。1カ月で1000本作り、ほとんど売れてしまう。入荷を待つ顧客も多い。安い牛丼店が人気の一方で、高級レストランも予約が取れない現代日本の“二極化”は、ビニール傘業界にも起きている。

 現在普及しているビニール傘は父、三男さんが1950年代に開発した。64年の東京五輪で来日した米国人バイヤーの目に留まり、まずニューヨークで大ヒット。その勢いで国内でも売れに売れた。80年代に入ると安価な中国製が登場。中小企業が多い国内メーカーのほとんどは姿を消した。

 そんな時、家業を継いだ。売り上げは半年ごとに半減。「あしたは何を売って食いつなごうか」と考える毎日。シャワーカーテンや洗濯機カバーなどのビニール製品を作ってしのいだ。

 転機は80年、都議会議員からの依頼。「庶民的なイメージで顔が見えることにプラスして頑丈なものを」という要望に応えたビニール傘が、各地の選挙の立候補者たちの間でも評判に。宮内庁からも「園遊会で皇族のお顔が見えて壊れないものを」と注文が寄せられた。安い外国製品が出回っても、「ニーズに合ったものだったら、欲しい人は高くても買ってくれることを学んだ」と話す。

 環境対策にも取り組んでいる。従来製の素材は塩化ビニールで、低温で焼却すると有害なダイオキシンが発生する。このため、害の少ないポリオレフィン系樹脂に替えた。骨は折れにくいグラスファイバー製。大雨の翌日、骨だけになって道端に捨てられるビニール傘を、1本でも少なくしようと考案した。

 ホワイトローズは、江戸時代中期の享保6年(1721年)にタバコ店「武田長五郎商店」として創業。その後、雨がっぱの製造に乗り出し、190年間にわたって雨具製造に携わっている。10代目の須藤は今、2020年の東京五輪パラリンピックに新たな商機を見いだそうとしている。

 「雨の日に来日したVIPが飛行機のタラップを下りる際、出迎えた人がうちの傘を差し出してくれるようにPRしていく」

 東京五輪パラリンピックが開催される7月24日~8月9日は、都心でゲリラ豪雨が多い時季。透明なビニールの下に顔が見える特長をアピールするつもりだ。

 大量生産、大量消費が当たり前の時代にあって値段は張っても、こだわりの商品を作り続ける。日本ならではのモノづくりの心意気を見た。=敬称略=

最終更新:8月17日(月)14時29分

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