ヒット商品不在のマクドナルド 信頼・販売回復は険しい道、改革へ全戦力投入 SankeiBiz 2015/8/13 08:15
日本マクドナルドホールディングスの2015年6月中間決算が過去最大の赤字に沈んだのは、異物混入問題の発覚などで信頼を失い、家族連れを中心に進んだ客離れに歯止めがかからないためだ。店舗の改装や顧客対応の改善、品質情報の開示などを徹底したものの、客足の戻りは鈍く、信頼と販売の回復に向けた道のりは依然険しい。
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「ビジネス回復のために必要なことは何でもやる」。サラ・カサノバ社長は東京都内で開いた12日の決算会見で、反転攻勢への決意を強調した。既存店の売上高は7月まで18カ月連続で前年実績割れとなっており、マイナス続きからの脱却が当面の課題となる。カサノバ社長は「ブランドには回復の傾向が見られる」とした上で「8月の売上高はプラスに転換する」との見通しを示した。
もっとも、使用期限切れ鶏肉問題の影響で昨年8月以降、売上高の減少は2桁にも及んでおり、その分だけ今年8月以降は増収へのハードルが低くなっているのも事実。それだけにプラスに転換できたとしても「増加基調をその後も維持できるか」(アナリスト)が焦点となる。
大胆な店舗改装とともに、マクドナルドが業績回復に向けた最大の“起爆剤”と位置付けるのが「魅力的なメニューの提供」(カサノバ社長)だ。売り上げ減少の要因は、画一的なメニューやサービスが客に飽きられたことも指摘されている。実際、08年に本格的な販売を始めた「クォーターパウンダー」が通常の2.5倍のビーフパティを使って人気を集めた後、ヒット商品は不在の状況が続く。
売れる商品があれば、来客数は当然増える。そこで、画一的メニューの改革を目指して戦略的に投入するのが「日本独自のハンバーガー」(カサノバ社長)だ。これまでも「てりやき」「えびフィレオ」を定番メニュー化し、秋冬限定の「月見」「グラコロ」など日本独自の商品を展開してきた。下期は新たに日本各地の名産品や日本人が好む味付けにしたバーガーを相次いで売り出すという。