【ニュース まとめ】はるさめ君にゅーす!

このブログは、常識・教養を身に付けるために、社会、ビジネス、健康、エンタメなどネット上の旬な情報を国内外から、ジャンルを問わず、さまざまなニュースや情報・知識を収集していくブログです。ニュースまとめます。

<ドラクエXI>PS4と3DSのどちらで楽しむのがいいか 毎日新聞 8月9日(日)10時5分配信

 

  スクウェア・エニックスは7月28日、人気ゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズの最新作「ドラゴンクエストXI(イレブン) 過ぎ去りし時を求めて」(以下ドラクエXI)を発表した。ドラゴンクエストシリーズ発売30周年を迎える2016年5月末から、17年春までの発売が濃厚だ。パソコン・デジタルAV・家電の動向に詳しいフリージャーナリストの西田宗千佳さんがその背景をリポートする。

【「ロボットに何をさせるか」アプリ開発競争続く】

 ドラゴンクエストシリーズにはさまざまな作品があるが、その多くはブランドやキャラクターを使った派生商品である。しかし今回発表されたのは、俗に「ナンバリングタイトル」と呼ばれる、シリーズの中核となる新作だ。

 ◇注目された「どのゲーム機向けに発売されるのか」

 ドラゴンクエストは日本を代表するゲームであり、そのナンバリングタイトルの存在は、多くの人に「どのゲーム機を選べば良いのか」という指針を与えてきた。今回もどのゲーム機向けに出るのかが、ゲームの内容と同じくらい大きな注目を集めていた。

 だが、スクウェア・エニックスの判断を事前に予測できた人は、おそらく誰もいなかっただろう。今回は、ソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション(PS4)」と、任天堂の「ニンテンドー3DS(3DS)」の両方で発売されることになったからだ。

 しかも、PS4版と3DS版は、見た目も操作方法も大きく異なる。最新の技術を投入し、高いグラフィック性能を誇るPS4向けには、街並みから草原、洞窟まで、ドラクエXIの世界をCGで精密に再現し、どこまでも自分で歩いていって冒険するようなスタイルが採られている。

 一方で3DS版は、グラフィックはそこまで凝っていない。二つある画面のうち、上では比較的シンプル化したCGによる描画が使われ、下ではファミコン時代からおなじみの「ドット絵」が使われる。PS4では2010年代らしい最新の世界が、3DSではドラクエの伝統を思わせる古典的な世界が用意されたのだ。

 ◇ゲームのコアは同じだが、まったく異なる外見

 これだけ外見が異なると、同じ名前のまったく異なるゲームのようにも思える。だが、ドラクエのオリジナル開発者であり、今回もゲームデザイナーを務める堀井雄二氏は「どちらもストーリーなどはまったく同じ」と話す。ゲームとしてのコアは同じでありながら、発売する機種と体験がまったく異なる、という新しいスタイルを採用することになる。

 ゲームを開発する上でもっとも負担になるのは、グラフィックや音楽など、ゲームを構成する「素材」を用意して組み立てることだ。ゲームの規模が大きくなるほど必要な作業が増えるため、コストは増大する。そのリスクを減らすには、使いやすい技術を採用してコストを低減した上で、販売数量を大きくできるよう努力し、販売量1本あたりにかかるコストを最小化することだ。

 そのため近年、特に海外では、特定のゲーム機のみにゲームを供給するのではなく、複数のゲーム機に同じゲームを供給するところが増えている。素材以外の部分の開発コストは、複数のゲーム機向けに販売することによる販売機会増大に比べれば小さなものであるからだ。特にハイクオリティーなグラフィックのゲームについては、ゲーム機に加えパソコンにまで供給されるようになってきた。これを「マルチプラットフォーム化」と呼ぶ。

 ◇海外市場視野のPS4、国内ファン向けの3DS

 2機種で販売する理由は、日本と海外の市場の状況が関わっている。

 日本では、ニンテンドー3DSに代表される携帯ゲーム機の市場がまだ元気だが、海外、特に欧米ではまったく振るわない。逆に、PS4の大ヒットに伴い、据え置きゲーム機の市場は急速に力をつけており、毎年数百万本クラスのヒットが複数生まれる巨大市場だ。PS4は日本でも売れ始めているものの、いまだ国内販売台数は百数十万台にとどまる。

 今日的なグラフィックスで開発し、海外市場での販売も視野に入れるならば、販売対象はPS4が自然だ。一方、ドラクエは日本にファンが集中する作品で、「日本で広く普及しているゲーム機」で出す方がリスクは低い。

 PS4か3DSか、どちらかだけを採ると「売り逃がしのリスク」が高い。だとすれば、コスト面でのリスクを負ってでも両方で出すべきだ……というのが、今回スクウェア・エニックスが採った方策である。

 ドラクエXIという、確実に数百万本の販売が見込める作品ならば、売り逃しのリスクよりも開発コストのリスクの方が小さい。ゲーム機を「選ぶ」ことでファンを敵に回さず、可能性を広げる策を採ったわけだ。

 今後スクウェア・エニックスは、16年に任天堂が発表を予定している新型ゲーム機「NX」でも、ドラクエXIの発売を検討するという。NX版がどういう形になろうと、3DSかPS4、どちらかの素材が流用できるため、開発コストもリスクも小さくなる。今後有望なプラットフォームが増えるなら、ドラクエXIが遊べる機器がさらに増えても、筆者は驚かない。

headlines.yahoo.co.jp