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【ニュース まとめ】はるさめ君にゅーす!

このブログは、常識・教養を身に付けるために、社会、ビジネス、健康、エンタメなどネット上の旬な情報を国内外から、ジャンルを問わず、さまざまなニュースや情報・知識を収集していくブログです。ニュースまとめます。

くら寿司、「シャリカレー」に託す2つの戦略 東洋経済オンライン 8月9日(日)8時0分配信

 

 

「カレー専門店にも負けない味に仕上がった。このようなクオリティの高い商品をどんどん出していかなければならない」。回転すし大手「くら寿司」を展開する、くらコーポレーションの田中邦彦社長は、7月29日に開いた新商品説明会でこう強調した。

 くら寿司は、すしのシャリ(酢飯)とカレーライスを組み合わせた「シャリカレー」の販売を開始した。全国約360店の店舗で、7月31日からサイドメニューとして提供している。カレールーには、26種のスパイスと玉ねぎ、りんごなど13種の野菜・果物を使用。価格は350円(税抜き)。3カ月で100万杯の販売目標を掲げる。

 「なんだこれは?」「くら寿司はどこに向かって進んでいるのか」――。回転すしチェーン初のカレーライス、しかも「シャリとカレー」という意外な組み合わせの商品だけに、発売と同時にネット上では驚きの声が続出した。

 話題性を狙った“変化球”にも見える新商品だが、くら寿司は看板商品としての育成を本気で見据える。シャリカレーは経営戦略上の課題を克服する「戦略商品」と、同社は位置付けているのだ。

■ 業界4強の優勝劣敗

 外食産業全体が伸び悩む中にあって、回転すしは市場規模が順調に拡大を続けている。だが、消費者の財布のヒモは固く、「4強」といわれる業界大手の競争はいっそう厳しさを増している。

 最大手のあきんどスシローは、タマゴで甘エビなどの具材を包んだ「クレープすし」や「オムライすし」など、子供向けの商品を拡充し、首位固めを狙う。ゼンショーホールディングス傘下のはま寿司は、年間50店超もの出店を続け、店舗総数では業界2位のくらコーポを抜いた。一方で、カッパ・クリエイトホールディングスは来店客数が減り、2014年2月期に大量の不採算店閉鎖を強いられ、繰越赤字が現在も残る状態だ。

 2012年に「7種の魚介醤油らーめん」を投入するなど、サイドメニューを拡充してきたくらコーポは目下、業績絶好調。過去最高の純利益を連続で更新している。

 ただ、「消費者のニーズに応えられない回転すしチェーンは、いずれ衰退していく」と、田中社長の危機意識は強い。そこで、重点商品として今回投入したのが、シャリカレーである。

■ 1つ目の狙いは客層の拡大

 くら寿司がシャリカレーに込めた戦略的な狙いは大きく2つある。

 1つは、来店客層の拡大だ。ラーメンだけでなく、コーヒーやデザート類といったサイドメニューを増やしてきた効果で、くら寿司の既存店の客単価はこの6月まで31カ月連続で前年同月を上回っている。

 ところが、客数に関しては、6月が前年比93.5%となるなど、前年割れとなる月が少なくない。もちろん営業日数や天候、イベントの有無などの影響で客数は増減しがちなのだが、安定的に客数を伸ばしていくことが、くら寿司の課題の1つであることは確かだろう。

 現在の来店客の中心は30~40歳代のファミリー層。幅広い層に人気があるカレーライスならば、中高生や20代のサラリーマンなど、比較的弱かった層を誘因することが可能になる。このような新しい層を呼び込むことができれば、夕方以降に比べて低かったランチタイムの店舗稼働率向上につながるかもしれない。

 もう1つの戦略的な狙いが、原価率の改善効果である。鮮度が求められる魚介類を扱う業態だけに、回転すしチェーンの原価率は40%台と、外食業界の平均(約30%)に比べて高いといわれる。加えて、昨今の円安が、仕入れ額の約7割を輸入水産物に頼るくら寿司には打撃となっている。

 その点、魚介類ほどの鮮度を要求されない食材を使用するカレーライスであれば、すし類に比べて原価率が低くなる。食材の調達先も国内が多く、円安の影響を受けにくい。また、「シャリカレーは販売価格350円と高めの設定なので、収益貢献が大きい」(外食ジャーナリスト)と、さらなる客単価上昇につながるとの見方もある。

 戦略商品という位置づけのシャリカレーだが、この開発は容易ではなかったようだ。会社側は「開発期間は2年」としているが、田中社長は「実は10年前に仕込んだ案件だった」と打ち明ける。

当初は魚介類の出汁を使ったカレールーの開発を試みたが、「インパクトがない」と断念。そこで、欧風カレーではプロの隠し味として酢など酸味の強いものが使われていることに着眼し、シャリを活用したカレーライスの開発に取り組んだ。

 ところが、方針が固まってからが「長い道のりだった」(商品開発部の松島由剛マネージャー)。「スーパーで売られているレトルトカレーはすべて試食した」(同)。試作したカレーの数は100種類以上。さらに、調合バランスや炒め方、煮込み方などの違いで味が変わるため、工程の細部にまで気を配る必要があった。 

 苦心して完成させた試作品も、社長がなかなか首を縦に振らない。「ほかの役員が『うまい』と評価しても、私だけは何回もNGを出した。10回以上はダメ出しをしたのではないだろうか」(田中社長)。

 納得できる味に仕上がらないため、田中社長は「どちらかというと、商品化をあきらめていた」とも明かす。ただ、「昨年の土壇場(年末)に、『これはうまい』『文句なしにおいしい』と言えるものが出てきた」という。

■ 売り上げは計画の1.5倍で推移

 10年越しで商品化に漕ぎつけたシャリカレー。食べてみると、ピリッとスパイシーなカレールーの味のあとに、甘みと酸味のあるシャリの味が広がるため、さっぱりとした後味が印象に残る。まさに、主要ターゲットの1つとする20代のビジネスパーソンに受け入れられそうな味だ。

 一方で、「子どもは途中で食べるのをやめてしまった。小さいお子さんには味が濃すぎるのではないか」(小学生の子供を持つ40代男性)との意見もある。

 販売開始後は「売り上げが社内計画の1.5倍で推移している」(くらコーポ)と、好発進だったもよう。だが、看板商品として定着させるためには、子供やシニア層にも受け入れられるように甘口の味を用意するなど、商品バリエーションを広げる必要があるかもしれない。

 ライバルチェーンが、類似商品を投入してくる可能性もある。期待の大型商品の動向に、業界全体が熱い視線を注ぐことになりそうだ。

梅咲 恵司

zasshi.news.yahoo.co.jp