【ニュース まとめ】はるさめ君にゅーす!

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あの飲食店、なぜバカ高くてヒドいのに人気?注文間違う、冷めてる、うるさくて会話できず… Business Journal 8月8日(土)17時30分配信

 

 日本フードサービス協会が6月に発表したデータによると、2014年の飲食店の市場規模は13兆1213億円で、前年比1.6%増という結果になっている。この数字だけを見れば堅調といえるが、マクドナルドや吉野家などかつて「デフレの勝ち組」と呼ばれたファストフード界の雄が業績不振にあえぐなど、一概に業界全体が好調とはいえない状況が続いている。

 そんな客単価1000円未満の王者たちが苦戦する中、その数倍に上る客単価でも好調の店というのも珍しくないが、中には「この店がなぜ繁盛しているのか?」と疑問を抱いてしまう店があるのも事実である。「値段ほどの味ではない」「スタッフのサービス品質が低い」「席が狭い」「店内が騒がしい」「入店までのウェイティングが長い」といった条件が揃っていても、なぜか連日満席の店は存在する。

●店内がうるさすぎて…

 そんな“人気店”のひとつが、東京都心の大きな駅の目の前に店舗を構えるレストラン「A」(仮名)だ。

 Aは予約がないと入店困難といわれるほどの人気店として知られているため、記者は事前に予約を入れて、2人で7月某日の土曜20時にAを訪問した。案内された席は一辺80cmほどの正方形のテーブルで、他の同じ大きさのテーブルでは大人3~4名のグループも多く、あまりに狭いというのが第一印象だ。実際、ドリンクを各自頼み、料理はバーニャカウダ、オニオングラタンスープ、パスタ、和牛ステーキの4品をオーダーしたが、ドリンク2杯と料理が2皿来た時点でテーブル上は埋まってしまい、残りの品が届く前に「早く食べないと」というせわしないプレッシャーに襲われる始末。

 さらに店内の照明は薄暗くムーディーで、各テーブルには小型のロウソクが照明代わりに置かれているのだが、ただでさえ狭いテーブルに火のともったロウソクは邪魔な存在でしかない。演出上の工夫であることは理解できるが、それならばもっと広いテーブルを用意してほしかった。

 客層はというと、周囲を見渡すと6~7割が女性客。女性のみと、男性と女性の混合の客ばかりで、男性のみの客は見る限り皆無。

 また、入店した時点でほぼ満席状態だったが、席と席の距離が非常に近く、店内はガヤガヤと常に騒がしい。それは、向かい座る同伴者の声すら聞き取りづらいほどのレベルだ。

 そして、ホールスタッフの質の低さも気になるところだった。店員は一様にイケメンだが、ファーストオーダー時にドリンクと一緒に料理も頼もうとしていたところ、ドリンクの注文を伝え終わった時点でスタッフはさっさとその場から離れてしまい、料理の注文を受けてもらえず。ブランド和牛のステーキを注文した際、店員から焼き加減を聞いてきたので「ウェルダン」と注文したが、実際に届いたステーキは外身以外赤々としていて完全にレア。これは店内が騒々しいために聞き間違えた可能性もあるが、いずれにしてもひどい間違いと感じたポイントである。

 肝心な料理の味だが、ステーキはテーブルに到着した時点で冷めており、美味しく食べられる状態ではなかった。また、3000円近くするウニを使った冷製パスタは、口に入れた瞬間に違和感を覚えるほど味全体がアンバランスで、パスタとソース、具がケンカしているよう。さらに量はわずか4口分くらいで、「この値段でこの味はヒドイ」というのが2人の共通した感想だった。

 ちなみにこの日の会計は、滞在時間1時間、料理4品とドリンク5杯で総額約1万2000円だった。

●みんなが利用している店=人気店?

 では、なぜ料理、接客、居心地などのクオリティーが低くコストパフォーマンスも悪いにもかかわらず、人気が高い店というのが多いのだろうか。

『ぜったい行ってはいけない有名店、行かなきゃいけない無名店(東京編)』(アイビーシーパブリッシング刊)など、数多くの飲食店レビュー本を著書に持つJ.C.オカザワ氏は、飲食業界のこうした現況のカラクリについて次のように語る。

「“たいして美味しくない店”や“接客レベルが低い店”が人気店になっているケースは最近増えていて、特に飲食店レビューサイト『食べログ』の影響力が浸透しきった5年ほど前から、その傾向に拍車がかかっています。そういった人気に実力が伴っていない店は、女性客をターゲットにしたコンセプトのお店が多いです。日本人女性特有の心理ですが、ファッションでもみんな似たようなコーディネートをよくしているし、みんな同じようなブランド物のバッグを持っていたりしますよね。これは自身の個性を確立している欧米の女性にはあまりない傾向で、日本人女性は“みんながイイというものはイイ”という価値観の方が多いといわれています」

 例えば「店内が会話できないほどガヤガヤして騒がしい」というデメリットが、そういった価値観の女性からすると「みんなが利用している人気店という証拠」というメリットに置き換えられているということであろうか。

「そういうこともあるでしょう。飲食店を選ぶ際にポイントとなる部分は人それぞれ違いますが、大別すると『料理の質』『価格』『雰囲気』の3つ。雰囲気というのは外観、内観、BGM、そして客層などを指します。一概に男女の違いと言い切れるわけではないですが、多くの男性が気にするのが料理の質と価格なのに対し、多くの女性は雰囲気と価格を気にするのです。男性同士で食事をするとなったら、小汚くても確かな味を提供してくれる料理店を選ぶことが多いと思いますが、女性同士の場合は味よりも雰囲気を重視することが多いということです」(同)

では、人気に実力が伴っていないお店は、どのようにして見抜けばいいのだろうか。

「内観、外観などの雰囲気がいいのはもちろんですが、一番チェックすべきなのは立地ですね。東京の銀座や六本木など繁華街の駅近一等地にあるお店は、極論をいえばいい雰囲気さえ出しておけば放っておいてもお客さんが来るものです。もちろん、料理がマズかったらそれが評判となってすぐ潰れてしまいますが、“超1級品の美味さ”である必要はありません。味にそこまでこだわらない客、味がわかっていない客ならば、“1.5級~2級の美味さ”でも十分満足させられますからね。また、好立地のテナントということは賃料も高いということなので、それだけ多くの売り上げを上げないといけません。ですから客をギュウギュウに詰めてでも、より多くの席数を確保しようとするので、店舗面積に対して異様に席数が多い店は要注意といえます」(同)

 Aで食事を終えた記者が店を出る際、同じく会計を済ませたばかりの20代女子とおぼしき4人組が店先でセルカ棒を使い、店内をバックにスマホで記念撮影して笑顔の花を咲かせているのが印象的だった。そして彼女たちが、Aでの“素敵な時間”を話したり「食べログ」に書き込むことで、よりいっそうAの人気は高まっていくのだろう。
(文=編集部)

zasshi.news.yahoo.co.jp