【ニュース まとめ】はるさめ君にゅーす!

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<外国人観光客>「爆買い」が支える百貨店の収益力 毎日新聞 8月8日(土)10時5分配信

 

  一部富裕層や訪日中国人による「爆買い」など、外国人観光客の旺盛な買い物需要に支えられ、百貨店の業績は回復基調にあるといわれています。税理士でファイナンシャルプランナーの高下淳子さんが、景気動向を反映する大手3社の決算数値から、百貨店のリアルな経営状況を分析します。

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 ◇連結売上高は3社横並びの1兆円規模

 三越伊勢丹ホールディングス、大丸松坂屋を傘下に収めるJ.フロントリテイリング、高島屋の大手3社の昨年度の連結損益計算書には、百貨店業のほかに不動産業、他業態での小売業、専門店業などの業績が含まれています。経営規模の大きさを表す売上高は1兆円前後で拮抗しています。

 ただ、J.フロントリテイリングは、売上高に対する販売管理費率が17.5%と、他の2社に比べてその低さが際だっています。その結果、多額の営業利益(約420億円)と高い営業利益率(3.7%)を計上しています。

 次に、有価証券報告書などに開示されている百貨店事業の売上高と営業利益(セグメント利益)を見ます。

 百貨店事業の売上高1位は三越伊勢丹で、1兆1728億円。営業利益は214億円で、営業利益率は1.8%です。一方、J.フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋の売上高は7598億円と、三越伊勢丹と大きな差があるものの、営業利益は231億円と最も大きく、営業利益率も3%と高くなっています。なぜなら、各社がそれぞれ独自の経営スタイルを追求しているためです。

 ◇百貨店らしさか、コスト削減か

 百貨店の経営には、地代、人件費、宣伝費などの多額の運営費が必要です。高コスト体質であるため、売上総利益から販売管理費を差し引いた営業利益も少なくなります。

 三越伊勢丹は、自社の従業員が商品企画、接客、店舗運営を主体的に行う自主企画商品の比率を高めることで、収益力向上を図っています。高級感演出と接客力強化による高付加価値戦略です。現在、伊勢丹新宿店が全国百貨店のなかで売上高1位をキープしています。

 一方、大丸松坂屋は、自主企画商品を扱う売り場に加え、幅広い世代を取り込めるようなテナント誘致に力を入れています。各テナントに店舗運営を任せることで人員を削減し、業務の効率化を図っています。高島屋は、駅前商業施設の開発や街づくりなど不動産事業で収益を確保しています。

 いくらの総資産を投入して、どれほどの経常利益を稼いだかを示す「総資産経常利益率」、つまり事業活動全体の利回りはJ.フロントリテイリングが4%と最も高く、高島屋が3.8%、三越伊勢丹は2.7%です。

 ◇もっとも伸びたのは化粧品と宝飾品・貴金属

 日本百貨店協会が発表した「全国百貨店売上高概況」によると、2015年6月の売上高総額は前年同月比で0.4%増でした。主要5品目のうち、雑貨は18.4%、家庭用品は3.9%、身のまわり品は0.8%のプラスでしたが、衣料品はマイナス7.7%、食料品はマイナス0.1%でした。

 商品のなかで大幅な伸びを示したのが化粧品(21.3%)と美術・宝飾・貴金属(27.9%)です。この2品目が全体の売上高アップに貢献しました。つまり、現在の百貨店の売上高は、訪日外国人の化粧品まとめ買いや、一部の富裕層の宝飾品購入に支えられているといえます。実際、訪日外国人の購買客数は前年同月比で276.5%増、売上高の伸び率は同307.1%と過去最高を記録しました。

 地区別の売り上げは東京5.9%、大阪3.2%、仙台1.3%と前年同月比で増えたものの、その他の全ての地区はマイナスでした。しかし、8月3日に各社が発表した7月の既存店売上高・速報値は、前年同月比で全社がプラスとなりました。

 百貨店の今後の課題は、生活の基盤といえる衣料品や食料品の販売力強化です。そして、上記の3地区以外の百貨店売上高が伸びたならば、本格的に景気も回復し始めたと言えるでしょう。

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