【ニュース まとめ】はるさめ君にゅーす!

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大塚HD、大型薬特許切れでどうなる?  東洋経済オンライン 8月8日(土)6時0分配信

 

  中枢神経領域に強みを持つ、国内製薬3位の大塚ホールディングス(HD)。今年4月、売り上げの約4割(2014年4~12月期)を占める大型の抗精神病薬エビリファイ」が、米国でとうとう特許切れを迎えた。


 大塚HDは8月7日、大黒柱の特許切れを反映した初の決算となる、2015年1~6月期(第2四半期)決算を発表。売上高は7458億円(2014年1~6月比1.6%増)、営業利益は1031億円(同24.5%増)だった。前年同一期間と比べて減収減益を見込んでいた期初計画から一転、増収増益となった。売上高で358億円、営業利益で481億円もの上振れだ。

■ 通期では減収減益避けられず

 確かに、米国でのエビリファイの売上高は、後発薬への切り替わりが始まった4月以降に急減し、上期で前年同一期間比635億円(26.6%)減の1756億円に沈んだ。ただ、後発薬の登場が若干遅れたことなどを背景に、減少幅は期初想定よりも116億円小さかった。

 また、エビリファイの後継薬「ブレクスピプラゾール(製品名レキサルティ)」に関して、下期に見込んでいた、共同開発先のルンドベック社(デンマーク)からの開発報酬の一部を前倒し計上したことも、上期の収益を押し上げる要因となった。研究開発費も想定より圧縮した。

 上期のエビリファイの上振れ分と研究開発費の圧縮を受け、大塚HDは決算発表と同時に2015年12月期の通期計画を上方修正した。売上高、営業利益ともに100億円ずつ上乗せしたが、修正後の計画は、売上高1兆3800億円(2014年1~12月比12.2%減)、営業利益1200億円(同43.9%減)と減収減益。エビリファイを支えに好調だった業績は、同製品の特許切れで後退局面を迎えた。

 エビリファイの米国売上高は年間約5000億円にまで膨らんでいたが、直近では後発薬にすでに7割のシェアを奪われている。米国では特許切れ後に8~9割が後発薬に置き換わるため、今後のさらなる減少は避けられない。

だが、特許切れは以前からわかっていたこと。予期された最大の危機を乗り越えるべく、大塚HDは次世代を担う新薬の研究開発に注力してきた。2014年度から2018年度までの5カ年の中期経営計画(中計)では、2016年12月期を業績の底に、さまざまな新薬で再成長を狙うとしている。

 取り組みの成果は現れつつある。一つは樋口達夫社長が「中計の最重要品目」と位置づける、持続性注射剤「エビリファイメンテナ」。飲み薬のエビリファイを月1回投与の注射剤にしたもので、薬の飲み忘れを防げる。2013年の米国発売を皮切りに、欧州、日本などでも発売した。販売は好調で、今期は410億円の売り上げを見込む。

■ 後継薬を8月投入、多様な収益源を構築へ

 今年7月には、エビリファイの後継薬に当たる抗精神病薬「レキサルティ」が米国で製造販売承認を取得し、8月3日、まるでエビリファイの生まれ変わりのようなタイミングで世に出た。適応症は、統合失調症と大うつ病補助療法。レキサルティは、エビリファイが使われてきた統合失調症うつ病のような「精神障害気分障害」に加えて、アルツハイマー認知症におけるアジテーション(暴力・徘徊)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)といった「行動障害・不安障害」のカテゴリーにも適応が見込まれる。日本と欧州での発売や米国での効能追加に向け、目下開発を継続している。

 今年1月に約4200億円で買収した米国のバイオベンチャー、アバニア・ファーマシューティカルズにも期待の薬剤がある。もともとアバニアが持っていた世界唯一の情動調節障害の治療薬「ニューデクスタ」や、アルツハイマー認知症の行動障害を対象にした開発品だ。がん領域では、昨年国内で発売した大腸がん薬「ロンサーフ」を欧米にも投入し、成長ドライバーに育てようとしている。

 樋口社長は、「従来はエビリファイという大型製品があったが、だんだんと多様なエンジンによって成長するという収益構造に変わりつつある」と胸を張った。大塚HDエビリファイ依存の企業から変貌する準備は整いつつある。

長谷川 愛

zasshi.news.yahoo.co.jp