【ニュース まとめ】はるさめ君にゅーす!

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マック、7月既存店売上高12.6%減 2ケタ減続く 産経新聞 8月7日(金)16時10分配信

 

 日本マクドナルドホールディングス(HD)が7日発表した7月の既存店売上高は前年同月比12.6%減となった。マイナスは18カ月連続。6月まで7カ月続いた20%以上の減少よりは改善したものの、依然2ケタのマイナスが続いており同社の販売不振の深刻さが改めて浮き彫りとなった。


 7月の既存店の客数は9.3%減、客単価は3.6%減少した。7月にはレギュラーメニューにたっぷり野菜を加えた新商品を発売したが、売り上げの反転にはつながらなかった。昨年7月の使用期限切れの鶏肉問題と今年1月の異物混入問題の発覚以降、客足は遠のいたままで、同社も「本格的な回復にはまだ至っていない」(同社)と話す。

 

マックが異常に叩かれている、もうひとつの理由

マクドナルドがマスコミから尋常じゃないほどボコボコに叩かれている。

 「メニュー写真と現実の商品があまりに違い過ぎる」などネット上ではかねてよりマクドナルドはバッシングの対象だったが、年末年始くらいから、テレビや新聞までが「相次ぐ異物混入を説明しろ」なんて調子で参戦してきたのである。

 そう聞くと、「そりゃポテトから人間の歯とかありえないもん」「SNSの普及によって、異物混入で泣き寝入りしていた消費者の声がマスコミに届くようになったからだ」なんてことをおっしゃる方がいるが、ここまで派手にバッシングされているのは、「異物混入」のせいだけではない。

 ペヤングの時もこのコラムで述べたが、外食産業や食を扱う企業では異物混入は一定の割合で発生する。だからそんなもんでいちいちワーワー騒ぐなとか言いたいのではなく、それが現実なのだ。

 むろん、それはマクドナルドにもあてはまる。SNSが普及する以前から「マックのハンバーガーに虫が入ってました」なんてタレコミは珍しくない。といっても、しょうもないクレームや悪ふざけも多いので、集団食中毒などよほど深刻な健康被害でもでないかぎりスルーするネタなのだ。

 例えば、15年前、オレンジジュースを飲んだ女性が異物で喉を切って出血した。今報じられているゴキブリやらコオロギやらも問題ではあるが、混入物でケガという意味では、企業の責任がより厳しく追及されるケースだ。

 折しも雪印乳業の食中毒事件などがあった時期で、マスコミはなにかとつけては「食の安全」を訴えていた。当然、猛バッシングでしょと思うかもしれないが、多くの人の記憶に残っていないことからも分かるようにそんなことはなかった。いくつかのマスコミが紙面の隅っこにベタ記事扱いで報じたくらいで、マクドナルド側が異物が混入するわけがないと責任逃れをしても、目くじらをたてるような者はいなかった。

 ショウジョウバエが入ったジュースを飲んだ子どもが病院へ運び込まれた時も、2011年にマフィンのなかにナットが混入していて、それを食べた男性の前歯が欠けた時も、マスコミはいたって冷静であり、「他にもこんなに異物混入がありました」なんてパネルをつくって大騒ぎをしない。

 つまり、今回のマクドナルドバッシングは「異物混入」に端を発しているように見えるが、実はそうではなく、もっと別のきっかけがあると考えるべきなのだ。

 そこで、ひとつの可能性として浮かびあがる理由が、「マクドナルドの弱体化」である。

 マスコミというのはよく「水に落ちた犬を打つ」なんて揶揄(やゆ)されるように、これまで他を寄せつけなかった強い者がガクッと膝をつくとか、大企業がグラっと傾くと急に攻撃を始めることがある。そう考えて最近のマクドナルドを見るとどうなるか。

 原田泳幸CEO時代に急速に進めたフランチャイズ化の反動で店舗売却益ものっからず業績悪化。現場で働くアルバイトの士気は落ちて、FCオーナーからブーブー文句も出てきている。そんななかで中国産鶏肉事件による、いわゆる「ナゲット・ショック」が起きて大打撃、上場以来初めての経常赤字へ--。

 誰が見たって弱り目に祟(たた)り目という状況である。これに加えて、サラ・カサノバCEOのキャラクターもマスコミの攻撃を誘発している。謝罪会見にはなかなか出てこない、出たら出たで自分たちの正当性を訴え強気な態度を貫く「外国人社長」というのはマスコミにとって格好の餌食だからだ。

 そんなマックの弱体化は、本国の米国でも変わらない。ファストフード全体の消費量は増えているにもかかわらず、同社の売り上げは激減しているのだ。この背景には、2年前に失敗した情報公開キャンペーンがある。
 「マック=健康に悪い」という万国共通のイメージをどうにか払拭するために透明性をアピールしようと、消費者の疑問にバンバン答えますという主旨で製法や成分などを積極的に公開したのだが、それがかえって逆効果になってしまったのである。

 例えば、マックフライポテト。これまで「何カ月放置をしても腐らない」などとまことしやかに囁(ささや)かれていたこのポテトは「17の成分」からできているらしい。

 さすがに切ったジャガイモを揚げただけではないことは薄々勘づいていたが、改めて「酸性ピロリン酸ナトリウム」(色の保持)、「クエン酸」(保存料)、「ポリジメチルシロキサン」(消泡剤)などの化合物を羅列されても、「いやあ、これで安心して食べれますよ」となるわけもなく、かえってエグい印象を与えてしまったのだ。

 日本マクドナルドの創業者である藤田田氏は「ダイヤモンドに限らず、怪しげなものは売れる」という明言を残した。人というのは、どうしても怪しげな光を放つものに惹きつけられるのでそれをビジネスに活用せよという意味のようだ。

 確かに、マクドナルドもかつてはそんな光を放っていた。白塗りピエロのキャラクター、ドナルドをつかった「マックは子どもの味方」というあざといイメージ戦略、何が入っているの分からないハンバーガーなどかなり怪しげではあったが、それはそれで強烈なインパクトがあった。

 だが、今は違う。米国の市民団体から「子どもを不健康な食品に誘導した」とバッシングされたことでドナルドPRを自粛し、日本でもCMから消えた。さらにマックの商品はどれも体に良く安全だと猛アピール、ついにはまったく客層の異なるスタバのように、全店禁煙を宣言してしまうのだ。

 その一方で「¥100マック」やら「妖怪ウォッチ」とさまざまな施策をうっているが、誰がターゲットかまったく見えてこない。ファミリー層は安かろう悪かろうに不安を感じ、カフェとして利用していた個人客も居心地の悪さにそっぽを向き始めている。つまり、消費者は「マクドナルド」そのものが信じられなくなってきているのだ。

 創業者の言葉に従えば、怪しげなものは売れるが、「怪しいもの」は売れない。

 日本マクドナルドは自分たちの存在意義から考え直すべき時期にきているのかもしれない。

◆窪田順生
 1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段--検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。

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