【ニュース まとめ】はるさめ君にゅーす!

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ついに連敗をストップさせた西武。'07年の苦境知る中村剛也らの威厳。 Number Web 8月6日(木)16時1分配信

 

 

いったいどこまで続くんだろうと気が遠くなるくらい、埼玉西武の連敗は記録的に続いた。

 両リーグ1番乗りの30号本塁打を放った中村剛也の新聞記事を読んでいたときも「どうでもいい」と書いてあった彼のコメントの意図を、記録的な連敗についてのことなのか、両リーグ1番乗りの30号の記録についてのことなのか分からずに、2度読み、3度読みとしてしまうくらい、本当に長く、長く続いた。

 36年ぶりに球団ワーストを更新する「13連敗」。

 8月5日の東北楽天戦(コボスタ)では、これまでの連敗が嘘のような快勝で、不名誉な記録にストップをかけた。お立ち台に上がった先発の菊池雄星が溜息交じりに「いやーもう長くて……勝てずに……悔しい日が続いたんですけど、やっと勝ってホッとしています」とコメントする。この期間の埼玉西武の負けの数々は、「36年ぶり」という記録が示すとおり、ファンにとっては信じ難いチームの姿だった。

連敗ではあるが、僅差の負けが半数以上だった西武。

 中村剛也大谷翔平から2本の本塁打を放ち、序盤の5失点を挽回してみせた7月24日の北海道日本ハム戦も、ここから流れが変わるだろうと思った矢先にレアードの一発が飛び出して、終わってみれば6-13の大敗。

 8月1日の福岡ソフトバンク戦では1-2と1点リードされた9回裏に、先頭の浅村栄斗が投手強襲安打で出塁するも、誰もが犠打かと思ったタイミングで単独スチールを決行して失敗するなど「ダメージ」が残る敗戦が続いた。

 「ちょっと投打が噛み合っていない。野手が打ってくれても投手が崩れてしまうし、逆に投手が抑えても野手の援護がない。そうした巡りあわせが、今は悪いのかなって思いますね」

 この日の試合後、選手会長牧田和久はチームの現状について淡々と語ったが、13連敗中、1点差負けが4試合、2点差負けが4試合と僅差の負けが半数以上と、派手な連敗数のわりに内容で押されたゲームは意外に少なかった。牧田の言う「巡り合わせ」もこんなところから来ているのだろう。

2007年当時と、あまりにも似ている今の西武。

 そんな連敗が続いた8月1日、西武プリンスドームの試合終了直後、鳴り止まないホークスファンの歓喜の声とライオンズファンの怒号を背中に感じながら、埼玉西武森友哉は肩をいからせ、バットを片手に西武第二球場横の室内練習場へと足を進めていた。

 「バッティングのどこがしっくり来ない?」という筆者の質問にも、「全部です」と、素っ気ない態度の彼だったが、そんな姿を見た私はどこか懐かしく、頼もしくも感じていた。

 ――それは、今から8年前の2007年のことだった。

 埼玉西武は26年ぶりのBクラス転落という得体のしれない重圧と戦っていた。このときいまの森と同じように、バット片手に肩をいからせ、試合後に室内練習場へ向かっていたのが、今はチームの主力になっている中村剛也であり、栗山巧だった。

 この年の埼玉西武は、開幕からスカウト活動による不祥事が発覚してとても野球どころじゃなかった。そうしたノイズを振り払うかのように、中村も栗山も試合後、ひたすらバットを振っていた。

 翌2008年には中村が46本塁打を放って自身初の本塁打王を獲得、栗山も初の規定打席到達で打率3割1分7厘をマークし、チームも日本一に輝いた。'07年の屈辱的敗戦をバネに変えて反発した結果だった。

 そんな彼ら2人の8年前の姿と、現在の森の姿はどこか被って見える。

 懐かしくも頼もしく感じた理由は、それだ。

連敗中、先輩のひと言で蘇った高橋朋己。

 連敗のひとつの要因となっていたストッパー高橋朋己の不振についても、先発から彼の代役でストッパーへと配置転換になった牧田が辛口のエールを送る。

 「今まで高橋朋己がずっとストッパーをやってきたわけですけど、こうして自分が高橋の場所を取ったことを、(彼は)もっと悔しいと思わないといけない……。悔しいから逆に取り返してやるという気持ちになってくれれば、逆に切磋琢磨していける」

 高橋は今年プロ3年目。牧田のこの言葉に奮起したのかは分からないが、高橋はそれまでの5試合連続失点が嘘のように、3試合連続無失点に抑える変貌ぶりで、かつての勢いを取り戻しつつある。この経験もきっと無駄ではなかったのだろう。

弱い選手とは、試合の様々な「味」を知らない選手。

 今年の春、ラグビー大学選手権で6連覇の偉業を達成し、日本選手権では社会人トップリーグNECグリーンロケッツに勝利した帝京大学ラグビー部の岩出雅之監督に、たまたまこんな話を聞いた。

 「“強い選手”の反対の“弱い選手”ってどんな選手なのかを考えると、いろいろな味を知らない人ではないでしょうか。悔しい味も含めていろんな味を知っていくと、自分で考えられるようになります。もちろん、コーチであったり、側にいる人が優れた人なら選手をその気にさせてくれるでしょうが、最終的には自分でできるようになっていかないと強くはなれない」

 連敗中の8月1日の試合後、栗山や中村とすれ違うと、2人は俯くことなく、むしろ悠然と西武プリンスドームの長い階段を登ってきた。指揮を執る田邊徳雄監督も同様だった。勝ったときも、負けたときと同じように、同じ気持ちでこの階段を登る。

 冒頭に書いた中村剛也のコメントもそれならまず理解できる。それこそがいろいろな味を知る彼らだからこそできる振る舞いではなかったか。

 選手会長の牧田は言う。

 「連敗しているからと、そこでマイナス思考になっていたら結果もそうなってしまうので、プラス、プラスと考えないと良くならないと思いますし、まだまだ先は続くので悪いのを全部出し切って、あとは上に登っていくだけだと思うのでそれを信じてやっていくだけです」

 一昨年の2013年は9月、10月の29戦で17勝10敗2分とし、CS地元開催に滑り込んだ埼玉西武

 8月5日現在で残り試合数は44試合になったが、ここからどう巻き返すのか注目したい。

(「球道雑記」永田遼太郎 = 文)

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