【ニュース まとめ】はるさめ君にゅーす!

このブログは、常識・教養を身に付けるために、社会、ビジネス、健康、エンタメなどネット上の旬な情報を国内外から、ジャンルを問わず、さまざまなニュースや情報・知識を収集していくブログです。ニュースまとめます。

マクドナルド凋落で火が点いた「朝食争奪戦」 東洋経済オンライン 8月4日(火)6時5分配信

 

 

筆者が社会人として経験の浅い頃。米国に出張に行ったときに驚いたのは、米国人の通勤時間が早すぎることだった。朝7時に机につくのは当たり前。なかには6時くらいからパソコンを開いている人もいる。

マクドナルドができていない「基本中の基本」

 その分、夕方17時にはピッタリ帰って、家族とだんらんを楽しむ。そこには職場の飲み会が存在せず、同僚との対話は主に朝のミーティングだった。そこで誰かが買ってきたドーナツを頬張りながら、1日のスケジュールを決めていく。

 米国人の自宅に泊まるとかならず出されたのが朝のシリアルだった。昼食はほとんど摂らない人がいる一方で、朝の早い米国人は、ドーナツとシリアルを食べていた。そのとき、筆者は単なる文化の違いに驚いていただけだった。ただ、今思い出せば、違う考えを浮かべる。

■ 「マクドナルドを食べれば日本人は金髪になる」

 かつてマクドナルドの創業者である藤田田さんは「マクドナルドを食べれば日本人は金髪になる」と言った。マクドナルドが1971年に銀座に日本初出店した際、誰も日本人の髪の色が今のようにこれほど多様化すると予想できなかっただろう。

 日本人は多かれ少なかれ、米国の文化に影響を受ける。とすれば、食生活や、仕事に対する時間の感覚が米国化していっても不思議はない。筆者が見たのは、米国の今ではなく、日本の未来だった。

 そこから十数年。シリアルとドーナツのうち、ドーナツは日本のコンビニエンスストア各社がこぞって採用するに至った。コンビニエンスストアは年間で約20億杯も売るコーヒーとともにドーナツを売り込む。

 セブン-イレブンは2014年末の販売開始から、1店舗あたり100個以上を売る大ヒット商品となり、2015年には4億個を販売しようとしている。

 コンビニエンスストアは、これまで自宅で朝食を摂っていたり、コーヒーショップで朝食を食べていたりした需要を一気に取り込んだ。そして皮肉なことに、「日本人は金髪になる」と創業者が言った、そのマクドナルド需要を取り込みながら。

■ マクドナルドが放出した”朝食”需要

 日本マクドナルドの全店売上高は6月が前年同月比23.5%減と17カ月連続のマイナス。使用期限切れの鶏肉を使っていた問題や異物混入事件、それに伴う対応のまずさなどが響き、今年に入ってからは前年同月比2割以上の大幅な減退が続いている。

 そのマクドナルドの特徴として、これまで外食各社が後塵を拝していた領域がある。それが、朝食需要だ。マフィン、ホットケーキ、コーヒー――。マクドナルドといえばブレックファストというイメージを持っている人は少なくない。朝食を外食に頼ったことのある人のうち、マクドナルドの「朝マック」を経験した率はダントツに多い。

 そしてマクドナルドのつまずきをきっかけに再注目されているのは、マクドナルドに代わって日本人の朝食需要を誰が取るか、ということだ。その争いには、モスバーガーフレッシュネスバーガーのような類似競合者、代替商品を使って闘いを挑むコンビニエンスストア各社、そして、消費者に自宅での朝食を提供する食品メーカーとほかの外食チェーン店が混在している。

■ シリアルや朝定食で迎え撃つ伏兵たち

 このところの動きとして活目すべきは、著者のエピソードにもあったシリアル供給者だろう。このところ大ヒットしているのは、グラノーラだ。グラノーラを説明すると、シリアル食品で、ナッツやドライフルーツ、穀物などを牛乳などにかけて食べるものだ。

 カルビーの「フルグラ」が大ヒット商品で、朝食市場を使ってさらに成長させようとしている。米国ではシリアル市場は1兆円を超えるものの、日本は25分の1程度しかいたらない。逆に言えば、米国化する日本においては伸びしろがありそうだ。カルビーはシリアルで1日に1億円を売るが、さらに成長を見込んでいる。

 阪急阪神百貨店カルビーなどと組みシリアルを発売したし、サントリーも飲むグラノーラを発売している。また、湖池屋も朝食に程遠かったイメージを逆転させ、朝に食す朝ポテチを発売した。ポテトチップスが難しければ、アイスはどうだろう。森永製菓は「朝アイスしましょ!」というキャンペーンをはじめ、時間がない消費者に時短朝食を勧めている。「眠気がつらい朝も冷たさでシャキッ!」だそうである。

 朝食市場に食品メーカーが新たな好機を見つけたのは、もうひとつの理由がある。日本人はまったくおなじ夕食を食べるのは想像しがたいが、朝食であれば固定化しても受け入れる人は多い。

 ずっとご飯と味噌汁、トーストとコーヒーの組み合わせを摂り続ける人もいるくらいだ。同じく、たとえば、朝食でいちど消費者の食卓に入れば、ずっとリピートしてくれる可能性が高くなる。それが好機である理由だ。

また、ほかの外食チェーン店の動きも見逃せない。代表的なのは吉野家だろう。吉野家の朝食は焼魚定食のイメージが大きいものの、加えて「鶏そぼろ飯」と「豆腐ぶっかけ飯」を投入した。

 これも朝の需要をコンビニエンスストアから取り返す施策のひとつだ。加えて、前述のカルビーグラノーラのコラボメニューを開発する上島珈琲などがある。

■ コメダ珈琲店とゆかいな同志たち

 そして忘れてはならないのが、かつて地方コーヒーショップにすぎなかったコメダ珈琲店の存在だろう。コメダは名古屋で生まれ、名古屋の人たちは休日になるとモーニングを食べに行く定番店だ。スターバックスのようにセルフ方式でなく、昔ながらのウェイターオーダーの店だ。純喫茶のようにゆっくりとくつろぐ目的で来店する人は多く、シニアの利用も多い。

 コメダが強みとしていたモーニングサービスによって、朝食需要の高まりとともに同社に破竹の勢いを与えたのは興味深い。名古屋地区以外の人は知らないかもしれないものの、同社は出店攻勢を強めている。

 もともと昨年は610店舗程度だったが(現在は632店舗)、今期だけで90店舗弱もの新規出店を決めている。朝食需要に加えて、定年シニアがそれこそ毎朝のようにやってくる基盤はかなり強い。スターバックスタリーズといった”カフェ”のスタイリッシュさを遠慮する層も、”喫茶店”であれば新聞と週刊誌をゆっくり読める。

 一部報道によると、コメダは2016年にも上場申請する方向で準備が進められているという。株式公開して得た資金をもとにさらに拡大路線を歩もうとしている。現時点は非上場企業ゆえに業績は非公開だ。資本金は1億円程度だが、一部の報道によると営業利益率は20%弱という超優良企業だ。効率的な経営が続けば、朝食の世界で”喫茶店”が”カフェ”を切り崩すことにもなるだろう。

 もちろん同社も安穏とはしていられない。すかいらーくなども珈琲店「むさしの森珈琲」をオープンさせ、独走を阻止しようとする。同じく、星乃珈琲店、ルノアールもあるし、大手が続々と同思考で迫る。どこまで珈琲店形態が拡大するかは未知数ではある。

 外食を含め、食品メーカーも、小売りも、こぞって日本人の朝食を取り合おうとしている。私たちはこれから、マクドナルドのお株を奪って誰が一番旗を立てるかを見届けることになるだろう。

坂口 孝則

zasshi.news.yahoo.co.jp